サービスデスクとはユーザーからの問い合わせに対応する窓口です。馴染み深い言葉でいえばコールセンターみたいなものでしょうか。また似たような言葉にヘルプデスクというものがありますが、こちらはユーザーが問題の原因を推測し、どこに連絡すればいいのかを考えることになります。それによって問い合わせてもたらいまわしにされてしまったというケースがあります。しかしサービスデスクは問題解決の窓口は一つであり、ここに問い合わせればすべてのITに関する回答、回避策を得られるのです。

またサービスデスク側からも情報発信も行っています。ITサービスに関する情報を発信することで、ユーザーに対して意識喚起を行います。ITサービスに対して理解を深めてもらう啓蒙活動を行うのもサービスデスクの特徴です。これがヘルプデスクやコールセンターとの一番の違いといってもいいでしょう。

近年ではサービスデスクの導入が進み、様々な企業に普及しています。ユーザーが感じた様々な疑問、問題に対して、一手に引き受けることでスムーズに問題解決が図れること。ユーザーだけでなく、社員に対しても対応を行うものもあるということなどの点から、次第に普及が進んでいるのです。

これからの企業においてサービスデスクの存在感は強まってくるでしょう。ユーザーの問い合わせはどの企業でも起こり得ることです。ただし大半のものは、マニュアル通りに対応するだけに留められるのではないでしょうか。確かにマニュアル通りにやることで最低限の解決は図れるでしょう。しかしそれだけで本当に良いものなのでしょうか。

サービスデスクはマニュアル通りでは終わりません。どのような形で問題が発生したのか、その根本的な原因を突き止め、本当の意味での解決策を提示する。それが他との違いといってもいいでしょう。このような形で相談を終えれば、ユーザーはより満足感を得、サービスデスクに対して信頼感がより芽生えます。

問い合わせでは基本的に質問、苦情が届けられます。しかし信頼感が芽生えたならば、相談が含まれる可能性があります。その相談の内容によっては、システムの改善を行える可能性が出てきます。例えばこのシステムはもう少し使いやすく出来る可能性がある、といったものや、この表示の仕方だとわかりづらい、もう少しこういった形の方が良くないだろうか、といったものです。こういったユーザー目線の相談事が、より使いやすいものが生まれる可能性があります。だからこそサービスデスクの一つの目指すべき形として、ユーザーから信頼出来るような業務体制を整えるというものが挙げられるのです。

企業におけるナレッジとは、企業が蓄積している情報を体系的に可視化。様々な活動において有益な情報を知識として新たに活用する、というものです。様々な活動や会議において情報は次々と生まれていきます。これらを記録していくことで、企業は少しずつ情報を蓄積します。何らかの問題が発生した際に、この情報を紐解き、振り返ることで解決策が浮かびます。どのようにして対処したのかといったものをはじめとする経験、ノウハウをまとめなおし、必要な情報を明確にする。そうして問題に対処します。

どのような情報であっても、それが後々別の何かに役立つことがあります。個人が持っている知識、スキル、経験、ノウハウ、そして作業や開発における事例。これらは個人だけでなく企業にとっても大切な財産と言えるものです。ナレッジの蓄積はこれらを集め、わかりやすくまとめて可視化し、保存するということです。

こういったものは蓄積するだけでなく、共有することもまた大切です。そうすることで、問題解決を少数に任せるのではなく、誰かが欠けても別の誰かが解決出来る。ナレッジの共有化とは、こうした問題解決などに対してスムーズに行えるというメリットがあります。また問題解決だけでなく、生産や創造についても有効活用出来ます。これが企業の利益向上に繋がるのです。

近年においてITシステムは巨大化しています。現実における物理環境、そしてITによる仮想環境。オンプレミスとクラウドが混在し、複雑化の一途をたどっています。この問題を解決するのがサービスデスクです。

ITシステムは巨大化していると前述しましたが、これは止まることを知りません。数年前に比べると世の中には様々な機械の進化を遂げていました。携帯電話はスマートフォンになり、パソコンのシステムもより高度に複雑になっています。しかしそれを扱う人にとってその全てを理解しているとは限りません。だからこそその問題の対処のためにサービスデスクの導入が勧められます。

複雑化しているITシステムは一括管理が困難になっています。サービスデスクの目指すべき形の理想としては、その複雑化したものを把握することなのですが、その全てを把握することは難しいでしょう。仮想環境は人の想像以上に発達、進化を遂げており、それに加えて物理環境も入り乱れています。

しかしサービスデスクを担当するスタッフの教育、サービスを補助するツールの導入、ナレッジの蓄積など、サービスデスクを改善することでより良いサービスを提供できます。進化していくITシステムに合わせ、サービスデスクもまた変化する。それによってユーザーや社員に対して安心感を与える。サービスデスクとは、進化していくITシステムを扱う人たちにとって重要な存在と言ってもいいでしょう。